時代小説の金字塔『みをつくし料理帖』シリーズからツインレイのお話をしたいと思います。
小説の内容についても触れますので、まだお読みになってない方はご注意ください。
このお話の中心人物である2人は相思相愛、誰が見てもお似合いの2人です。
身分の差が現代とは比べ物にならない時代にあっても、周囲の協力も得られ、
なんとか一緒になる道を模索します。
奇跡的とも、必然的とも言える形で2人が結ばれようとしたその瞬間、
思いがけない展開で2人は訣別します。
【結ばれない筈がない】2人が、物語の中盤で別々の人生を歩み始めるという、
読者にとってもトラウマ級の展開を迎えます。
本人同士は勿論ですが、2人を支える登場人物たちも、読者も、絶望の淵に・・・。
なんとか修復を試みようとする周囲をよそに、2人の気持ちは決して揺るぎません。
その後、新刊が出る度に【新展開】を期待するものの、
淡い期待で終わってしまい、そのまま最終回を迎えてしまいます。
本の帯にもあるように『堂々の完結』ではありますが、
どこか大団円とはいかず、寂寥感が残る読者も多かったのではないでしょうか。
そして・・・
シリ-ズ完結から4年後、後日譚なる『特別巻』が発行されます。
そこでは本編で語られなかった【心情】がぽつり、ぽつりと発露していきます。
そして、訣別の裏にあった【究極の愛の選択】に驚愕するのです。
自分と人生を共にすることで、相手は『尽くす・支える』人生になり、
その人本来の使命を生きることはできないと悟ったレイ男性は、自ら離れることを選択します。
この世でいちばん愛おしい存在であるレイ女性と別れるということは、
自分の半身をもがれるも同じです。
誰よりも一緒にいたいと願う相手の幸せをいちばんに考える。
想像を絶する愛情がないとできない選択です。
ツインレイの【サイレント】期間中、チェイサーの自立を促すためにランナーが距離を置く事はありますが、
この物語ではそれぞれの道を歩いて、その後合流しません。
今回2人はそういった結末を体験し、大きな愛を学びました。
途中、レイ男性を小気味いいくらいに非難する人物が再登場するのですが、
読者は大変共感し、溜飲が下がります。
痛快で晴々とした気持ちになるとともに、
2人のお互いへの愛情の深さにただただ平れ伏すばかりです。
今回のお話は、一筋縄ではいかない人生のなかで【一緒になって倖せになる】という形ではなく、
その人の義務や使命が光り輝くことを最優先にしたツインレイの物語だと思います。
次回はそれぞれの道を歩いた先で合流するツインレイのお話をしたいと思います。